冬の大雨/ぽえむ君
冬の大雨の日
どこからともなく
ノラ猫は家の庭にやってきた
近所では名の知れた
図々しく生きるヤツらしい
汚いから触るなと
大人は子どもに言い聞かす
力を失いかけながらも
木の下で小さくなって
冷たい風に当たりながら
雨の降る空を見上げて
時が流れるのを待っている
近所には見当たらない
ひっそりと生きる家族らしい
生き物は大切にと
子どもは大人に聞いてみる
力を減らせながらも
木の下で丸くなっている
冷たい雨に打たれながら
雨の降る月を見上げて
時が過ぎるのを待っている
雨は勢いを増し
見えるもの
聞こえるものすべてを
雨の中に包み込む
ふと気がつけば
どこへともなく
ノラ猫は家の庭から去っていた
冬の大雨
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