青色音/なかがわひろか
 
あの曲が青色に聴こえた
今まで曖昧なオレンジ色だったのが
急に冷たく
研ぎ澄まされた
音に変わった

彼女は夕暮れ道を歩きながら
緑色の影を引き連れた

散歩代わりにいつも歩くの

そう言って
軽く笑った

灰色の眠り薬
チーズ色の甘い夢
どす黒く濁った
愛しき色した血

青いメロディーは
いつまでも鳴り響く
微かに耳を澄まして
上り詰めたような
息苦しい音が

頭を鳴らす

(「青色音」)
戻る   Point(3)