俺と鳥/緑茶塵
 
おうかとも考えたが、姪っ子が何も知らずに鳥を見に我が家にやってきた場合のことを考えて、今はよす事にした。老人は案の定話しかけてきて「昔はたくさん飼っていた」「この鳥は人にとても慣れている」「大事に飼っていますね」と言って俺の降りる二つ前のバス停で降りていった。
兄の家で引き取り先が見つからなければ、あの老人に託しても良いのではと思った。
その時の事を考えて、バス停の名前だけは覚えておいた。

兄と姪っ子の住む町のバス停で降りる。東京はどこまで乗っても同じ料金なので助かる。
空は相変わらず曇っていた。どこか異常じゃないかと思えるほどの鼠色だった。
俺はバス停に腰掛タバコを一本吸う。

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