遠雷の口笛/たりぽん(大理 奔)
 
針を含んだ
夜更けのくうきがはこぶ
とおい稲妻の裂ける音
面影のように遠雷
かすかに

  (雪を呼んだのかい、それとも)

コートのポケット
握った手は汗ばんでいるか
遙かな遠吠えを
呼ぶかのように
へたくそな

  (それとも、雨が欲しいのかい)

消波ブロック
挑む波は叫んでいるか
幽かな嗚咽を
かき消すかのように
へたくそな

  漁船(ふね)はまだ戻らないさ
  あいつもまだ
  いどんでいる
  さびしがっている
  つよがっている
  あいしている

目を閉じて
吹いてはいけない

へたくそな
、口笛




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