「哲学の夜」/404 not found
 
眠れない夜は永い

幼い日のぼくは
またあの夜も物思いに耽る

取留めもなく溢れ出る
イメージとイメージ
その断片を渡っていると
ふとしたはずみで
不思議な世界へと迷い込む

心と体がはぐれてしまったみたいだ…

さっきまで当たりまえだったことが
突如として
当たりまえではなくなってしまう倒錯感

頭の中をさまざまな疑問が駆けめぐる

 ぼくはだれ?

 赤ちゃんはどうやって生まれるの?
 お父さんに聞いたらごまかされた。
 
 この世界はどうして存るんだろう?
 誰か暇な人が創ったのかな?

 夜空に輝く
 星の瞬きは
 遥か彼方
 遠い過去の一瞬――
 難しくて理解できなかった。

 宇宙の端っこはどうなってるんだろうか?
 そもそも端っこなんてあるの?
 宇宙はどこまで行ってもほんとに宇宙?

考えれば考えるほど夜の静謐さは
その存在感を増し
ぼくを独り取り残す

そんな夜はとっても永い

そしてまた
朝になると何事もなかったかのように


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