冬眠/蒼木りん
 
でんでんむしが壁に張り付いたまま
冬眠してしまったので
そのままにしておきます
どうやら
家に住み着いたらしいこのでんでんむしは
たしか
おととし辺りから見かけて
たぶん
それに気が付いてるのは
わたしだけ

糸を残したまま
クモもいなくなりました
五月蝿い蠅も消えました
ゴキブリは見かけません
蟻はいまは
何してるんでしょう
コオロギは死んだのかしら

わたしはいま
わたし以外の人たちに動かされています
わたしの気持ちなど見えない人たちに
わたしも
わたしの気持ちしか
ほんとのところ感じません
わかった気がするだけで勘違い
でんでんむしの気持ちなんか知らないんです
だけど
一人ぼっちだったら
冬眠しちゃうでしょうね

寝るのがすきだし
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