泣きぼくろ。/もののあはれ
僕がまだ小学生だった頃。
父と母は毎日の様に喧嘩をしていた。
母は父の稼ぎの少なさを貶し。
父は病弱で働きに出れない母の不甲斐なさを責めた。
『お父さんとお母さん離婚するかも知れない。』
『お前はどっちに来たい?』
こんなにも恐ろしい質問を浴びせられる事も日常だった。
僕は唯一大人に対抗出来うる手段。
涙をもってして二人の離婚を阻止しようと試みる毎日だった。
小学生の僕は毎晩寝る前に祈った。
お父さんとお母さんが喧嘩しませんように。
お父さんとお母さんが離婚しませんように。
お父さんとお母さんが仲良くなりますように。
みんなが幸せになれますよう
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