鏡の中の花/
深月アヤ
黒い天幕に
開けられた小さな穴
零れ落ちる
涙の雫と悪意
サラサラと音を立てて
遠ざかる 幼い記憶
目の前の無垢の心を汚す
口唇から洩れる
密やかなため息
頭も指先も
底なしの冷たさに凍えて
半開きの口に
流れ込む満ちた海の滓
飲み込めば深く染まる
毒薬
色褪せたガラス瓶の中の
一服盛りましょう
散る花のように微笑む
鏡の中に
よく似た二本の花
天幕が包む
「テーマ先行型投稿企画 Apoptosiem投稿作品」テーマ『毒』
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