私が浜辺で泣いていたとき/肉食のすずめ
 
強い潮風吹きっさらし
遠くに涙飛ばしながら
海坊主を呼んでいる
海坊主よ
海坊主よ
聞こえているか

私が浜辺で泣いていたとき
海からお前は現れた
そうして私の隣に座って
すっかり乾いてしまうまで
何も言わないで
乾き切ってしまったら
面倒臭そうに目を合わさずに
腰を上げて早足で波に溶けた

私が浜辺で泣いていたとき
お前の涙の流し方は
理想的だ
そうやって白けた顔をして
ただ滾々と流す姿がいい
腰から上を海面に出して
そう言ってくれた

私が浜辺で泣いていたとき
海坊主は言った
それはただの体液だ
細胞の一つ一つから
流れ出す塩と水分だ

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