小詩集【肯定ペンギンの消えたコロニー】/千波 一也
 
かです

想いのひろさに囚われて
あらゆる鉄の
その火花

だれかがみとれる、
ただそれだけで
極地は
たやすく
語られます

パレードはいつもにぎやかです

海にも
空にも
大地にも




五、空蝉


そっと
持ちあげようとするほどに
ゆびさきは震えて

過ぎ去った季節は
こんなにも重みがあったのだ、と
追いつけない風に
ただよっている



虫のいのちは淡いらしい

されど
さみだれ、あじさい、あまのがわ

ひと夏を語ることばは少なくて
触れられもせぬおもいでに
着せられてゆくばかり

秋も冬も
春か
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(14)