小詩集【肯定ペンギンの消えたコロニー】/千波 一也
かです
想いのひろさに囚われて
あらゆる鉄の
その火花
だれかがみとれる、
ただそれだけで
極地は
たやすく
語られます
パレードはいつもにぎやかです
海にも
空にも
大地にも
五、空蝉
そっと
持ちあげようとするほどに
ゆびさきは震えて
過ぎ去った季節は
こんなにも重みがあったのだ、と
追いつけない風に
ただよっている
虫のいのちは淡いらしい
されど
さみだれ、あじさい、あまのがわ
ひと夏を語ることばは少なくて
触れられもせぬおもいでに
着せられてゆくばかり
秋も冬も
春か
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