ふるえる梢/佐野権太
 
街をみていた
貴方の街を

白々と染まる朝の底から
浮上する軒先の陰影
心配するなと云ってくれた
おまえの街だと

しずかな春の空を斜めに切った直線
落ちてきた羽ばたきの伸ばす
細い肢先にある梢(こずえ)は
はじめから予定されていたのか

その愛らしさに
宜しくお願いしますと
胸のうちにささやけば
初めて聴く言葉のように
不思議そうに首をかしげて
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