大そうじして死のう/しゃしゃり
、
やさしくうつくしい恋人ができたら、
このノートをいっしょに燃やそうと思っていた。
だがそれが大きな間違いだった。
そんな人はいない。
俺が変らなければ、
だれも俺のそばには来てくれないのだ。
やぶいて、みんな捨てる。
きれいさっぱり捨てる。
筋肉痛になるほど破りまくる。
着ているパジャマさえ捨てたくなる。
だけどそれだと寒い。
思い残すことはいっぱいある。
しめきったカーテンがまぶしい。
朝からラジオはクリスマスの歌しかかからない。
誰かお経を流しておくれ。
おばあちゃんのお年玉袋まで出て来た。
「きっとりっぱな男になるのよ」と書いてある。
わかった。
き
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