気まぐれな風/渡邊永遠
 
空は風に祈り
雲は風に願う

空は
雲で覆われてしまった大地を見たいと思った

雲は
最近同じ空しか見ていないので
どこか遠くの空を見てみたいと思った

風はあちらこちらから届く願いの便りをイチイチ聞いていられぬとふぅっと吹いて遥か遠くへと飛ばしてしまった

ふうっと吹いた風の気まぐれが
雲を動かし

飛ばされた雲は
暫くぶりに違う空に会えて嬉しいと喜んだ

空は出来た隙間から目一杯顔をだして大地を覗いた

空も雲も風に感謝を告げたけれど風は
「私は誰の願いもきかない。私は私の思うままに過ごしている。ただ、それだけだ。」と言った


私は芝生に寝転ん
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