妹よ/山崎 風雅
妹よ
お前にはいつも迷惑をかけてきたな
幼い頃はいじめてばかり
思春期にはぐれたお前を無視し
大人になっても返すあてのないお金を借りたり
兄らしいことは何一つしてなかったのに
俺が病気になって
一番心配してくれたのはお前、妹だったな
母からの病気の理解のないが故の辛い責めにも
お前はかばってくれたよな
アメリカに行って病気を治しておいでと
わずかな貯金をはたいてくれたよな
妹よ
お前は男運が悪かった
二度の結婚はうまくいかなかったな
俺は兄として何一つ役にたてなかった
お前の心は助けの手を求めていただろうに
妹よ
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