金木犀/
松本 卓也
夕焼けを背負い
黄昏に影を映して
今日を振り返らず
明日を思う事も無く
時に早足で
時に立ち止まり
ふと見上げると
涙が滲むのを知る
何を失ったか
何を拾ったか
時が背中を押すたびに
心が削れていくようで
想い描きながら
ポツリと呟いた声は
何の意味も成さず
ただ鼻先を通っていく
金木犀の微かな香りに
思い知る孤独があった
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