ツッコミキャラは耐えまくる。−仲仲治さんに/佐々宝砂
み方」が対立したらどうなるか考えてほしい。詩と格闘するわけでも作者と格闘するわけでもなく、読み方どうしの格闘、批評者どうしの格闘になってしまう、のである。そのような批評者どうしの論争はなんら珍しいものではない。有名なところでは、「たけくらべ」論争というのがある。樋口一葉の「たけくらべ」の終盤、美登利がなぜ突然変貌したか、にまつわる論争だ。美登利が初潮を迎えたからというのが「古い読み方」で、美登利がはじめて客をとった(すなわち処女でなくなった)からというのが今のところ「新しい読み方」である。樋口一葉亡き今、どっちが正しいか誰にもわからない。どっちが普遍になるべきかは、樋口一葉が生きてたってわからない
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