三つの詩について(2)ー「そんな毎日」・「遠雷」・「靴下売りと指人形」/生田 稔
★そんな毎日
恋情に就き密かに書き綴ったらしい。文章は作者の手を離れると独り立ちをするという、詩も例外ではない。
新しい時間を目の前にしたとき
こどものように泣いてしまったら
そこからどうぞ
背中をそっと撫ぜて下さい
変わりつづけるものの中に
変わらない風のような手で と言う終連は何かと想像を掻き立ててくれる。全体としてよくできている、なかなか良い詩にめぐり合えなくてやっと見つけた一遍だけに貴重である。この作者のほかの詩は知らないが、リズムもバランスも良いのではないか。芙雨さん、さらに研鑽されんことを!
★遠雷
西脇順三郎氏は簡単にわかる詩はだめだと言いご自身難解な詩を書
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