リアリズムについて/佐々宝砂
小学三年のとき、図画工作で足の彫刻(といっても粘土細工)を作った。手首から先の手か、足首から先の足をつくれといわれ、私は足にした。足の方が単純構造で指も短く、簡単そうに思えたのだ。基本的に、全員が自分の足や手をモデルにつくった。授業時間内につくりあげられなかった私は、家に帰って自分の足を見ないで粘土をいじった。なんで足を見なかったかというと、靴下を脱ぐのがめんどくさかったからである。
私には特に図画工作の才能はなかったと思うのだが、なんとか足に見える物体ができた。まあこんなもんでできあがりかなと思いはしたのだが、小学三年の私に突如としてリアリズムを追求しようという思いが湧き上がり、私は靴下を
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