唐紅呉小路/ねなぎ
響くは坂道
古い声
紅く吊られる瓢箪と
風鈴混じる
狭い道
いけば戻れぬ
向こう側
押して黙るは
伝えられ
風が音無く
かけていく
ここは古
町の角
人の欲とが
狭間なら
それらが合うは
端境か
赤と黒とに
彩られ
見えて見えぬは
人の闇
塗りて見せるは
美しく
夜に咲くのは
灯りのみ
口笛蛇を呼び
鬼を呼ぶ
潜みて笑うは
誰なのか
本性だけが
暴かれて
内側だけが
歩き出す
目に憑き宿るは
声なき声
手に付くのは
姿のみ
行きは良い良い
帰りは恐い
責め苛むは
罪なのか
それとも
悲しき
性なのか
魔がきて
禍が降りてくる
惹かれて
狂い
火取虫
生きているのか
いないのか
影ろい漂う
妖しさか
焼けて黒く
炎は紅く
響くは冷たき
坂道か
辛くも赤い華なのか
ただ重ねては
狭い道
戻る 編 削 Point(1)