響く声/松本 卓也
 
が形作る幻想だけれど
何故だが現実に思えて
より深い傷跡が刻まれていくようで

少しだけ正気に戻れば
瞬間に抱いた憤りなど
無意味なものだと分るのに

ただ赦して欲しい
贖う術など何もないけれど
ただ償わせて欲しい

君の声を一度も聞かないまま
例え言葉が届かなくても
易々と手放したくはない

何の感情に由来するものなのか
そんなものはどうでもいいから
ただ聞いてみたい
君から響く声を

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