響く声/松本 卓也
連なったテールランプ
眺めながら立ち尽くす
昨日吐いた言葉
今日待ち惚ける時間
振り返る機会に恵まれるほど
自分が切り裂かれて行くようで
冬が深まるほどに
褪せて行く街路樹が
一片の羽をチラつかせて
目の前に降って行く
吸い込んだ煙に咽て
また一つ捨てたのだろうか
幻の掌が与えてくれた温もりさえ
無意味な誇りよりも大事に思えなかった
与えてくれた言葉の数々と
ただ数度の気紛れを秤にかけて
誇りを選んだのは
どれだけ無意味な事なのか
誰にも分らない
ただ僕と君だけの回答
ただ何となくだけど
涙に暮れる姿が思い浮かぶ
きっと罪が形
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