愛想のいいそいつ/ジム・プリマス
 
そいつは
親しげで
愛嬌があって
いつも面白い冗談を言って
みんなからもとても好かれていた
僕も信頼していた
でも最初に裏切られたときに
僕はそいつのすべてを見破ってしまった
そいつの親しげな態度は本当にすべて
皮一枚の表面だけの姿で
中身はただの空っぽの闇だった
大きな大きな空っぽの闇につながっている
ただの穴だった
そいつは僕がそのことを見破ったとき
激しく僕を憎んだ
僕の手にするもの僕が愛するものとにかく
僕の持っているすべてのものを奪い去ろうとした
なにもない闇につながる穴なのだから
そいつには何も残ってなかった
純粋な魂も
綺麗な思いも
人を思い
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