電子レンジのメロディー/________
 





ヒステリックな叫びの断片が聞こえた気がした
いつもの駅前で振り返ってお母さんの姿を探した
それがわたしの名前を呼ぶときの彼女のやり方だった


もうそばにいない人のことを頻繁に考える
例えばそれは夕方のスーパーで買い物をしているとき
冷凍食品売り場に行けばいつもお母さんのことを思い出す
それが彼女の手料理だった
わたしも妹も喜んで手伝い、喜んで食べた
お父さんはめったに一緒にごはんを食べなかった
わたしの常識はこうだった
たまにお母さんが忙しいときは弁当屋さんの弁当だったり
コンビニのおかずだったり
した
お母さんは悪びれずごめぇん、といって食卓に
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