夢をみたがる君にまたがる/________
まるで完璧だった
彼女と彼は
絶妙なバランスで以って
倒れずに済んでいた
大きく開け放した窓からは
四角く切り取られた空の匂いと
入り込んだことにも気付かれないような小さい羽虫が
カーテンの揺れるテンポで流れて
たどり着いたのは
彼の
物の少ない
ぽっかりとした
部屋だった
羽虫には顔はないけど
あったらきっと赤面したに違いなかった
いつものやり方で
からだじゅうの産毛を太陽に裁かれても髪が乱れても
彼女は彼にとっていとおしいものであって
悲しい本能と冷静さを上手に噛み砕けないで呆けた顔をしていても
彼は彼女にとって
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