まるみえ/なかやまそう
まれる物事を
満ち干きのすきまに
放棄しに行きたかった
会社でミスをしたり
満員電車で揺られたり
して気持ちが萎えそうな
ときに右脳から
保存したデータを
取り出せたら
すぐにでも気持ちが
切り替えられそうで
満ち干きの映像を
保存しに行きたかった
海岸には誰も
居なくて
太平洋と一対一の
合コンみたいな
感じになって
しまったけれど
けれど
海は寛大だ
年上のお姉さんだ
年上のきれいな
おねえさんだ
絶え間なく
鳴り響く怒号の
ような海の音は
少なくても
自宅に帰ってきた
今でも脳裏に
鳴り響いていて
してはいけない行為とか
してはいけない言動とか
責任とか
ぼくの日常に
鳴り響く物事を
すべてかきけして
くれているようで
嗚咽を繰り返して
泣いてみるのです
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