たとえ小さな街の片隅でも/山崎 風雅
 
 うなだれた灰色の雲の下
 俺達の生活がベルトコンベアのように
 流れて来て流れて行く
 春を想うには遠過ぎる季節
 賑わう街は生贄にされし者を見失ってる
 吐く息の白さは
 まだ、この世に未練ある証
 息を弾ませ丘の上のオリオンを目指す
 漆黒の闇のなか
 迷子の仔猫が小さな命を放っている
 かわいい坊やは子犬の夢を見る
 穢れた俺は明日という名の妖怪と
 今日も眠れず討論会
 人知れず書いた詩には
 鋭い刃(やいば)が光っていて
 表に出すことはない
 人と人、
 分かり合えぬ悲しいさだめ
 真冬の空に希望を探して
 戸惑いながらも開けるパンドラ
 死ぬわけじゃないからと
 湧き上がる杞憂を打ち消して
 しっかり休んで
 しっかり起きる
 明日の朝は向いのお爺さんに元気よく
 おはようございます!
 と挨拶して
 一輪のきらめく花を咲かせよう
 たとえ小さな街の片隅でも




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