深淵よりも高く跳べ/煙と工場
谷間は
大きく深くて
ゴールは向こう側だ
なものだから
俺は
谷間を覗きこんでは
足を震わせていた
あるとき
君が向こう側にいた
俺はわからないままに
跳んでみた
すると不思議な事もあったもので
君のからだから
羽が生えて来て
俺のからだを
しっかりつかんだ
俺はなにがなんだか
わからなかったが
君はただ笑って浮いていた
このあと
どうなるか
わからないが
君が手を放すか
俺が手を放すかだが
俺はこの時間を噛み締めていた
いや
いたいのだ
俺は頭が悪くて
わからないが
恋はそういうものだと思う
また
君がわらった
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