祈りのとき/銀猫
流星群は行ってしまった
銀の光の尾は思ったほどの残像を残さず
地に這うものと宙空の距離を
夜という名で引き離す
星が流れる
わたしは物語として知っている、
祈りのかたちで
手を胸の前に組む
祈りは湧き上がったものの
目指す方向を失っている
言葉にならない音で
辺りを漂いながら
深刻な思いに惑っている
太古からの習いによって
この手のちから及ばぬとき
そうして繰り返したように
星に祈るのは
もはや頼みが神懸りであると
諦めが見え隠れするせいだろうか
流星群は 行って しまった
迷い惑う手
ひかりの冷たさに震え
星を逃して
尽きぬ思いは
夜に染み入り
星を逃して
涙の銀が
すっ、と尾をひく
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