昼下がりのテーブル/石川和広
とがあった
言葉ではなく心だったのかもしれない
すごく天気がよくて
仕事が休みの日に
あの人と公園にいき
あの人はブランコに乗り
私は背を押した
ぶうーん
ぶうーん
ゆれるのは視界も同じで
加速がつきはじめて
あふれそうになり
小さな背を押しながら
私はあの人の言葉を待っていた
今、私はそんなに用事がなく、せきたてられていないのに、あせる時がなぜかある。
何か大きな山のようなものが、待っているのかもしれないと思う。
そして私はその山に待たれている。小さな緊張が、波となって、よせてはかえす。
なにかはわからないものの前に、立ち、少しずつ生きている。
コーヒーが冷めはじめている
*鷲田清一『「待つ」ということ』角川選書
※初出「かたつむりずむ」1号
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