イニ/ねなぎ
 

遮られてしまって
暗さが纏わるように
行く先も見えなかった

運動さえも拡散される

ふと見えなくなっていた

気が付くと迷っていた
いつしか道は細くなり
木の葉や土の腐葉土しか
感じなくなり
時々に混じる物音と
気配と自分の呼吸音に
鉄臭く湿り気を帯びた
生命の息吹の臭いに当てられて
感覚が麻痺するのが感じられた
完全に辺りは闇に包まれ
道の痕跡すら見出せず
所々にせり出すような
木の根のゆるりとした
ぬめりに足を掛ける
手は探るように
木の幹のざらつきを掴み
しがみ付き
押しのける様に
蹴り飛ばすように
首筋に羽音がして
額にべとつく
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