イニ/ねなぎ
意識が拡散されていく
ふと揺れていた
気が付けば終バスなどに乗ってしまって
緑色の剥げかけた
安っぽいシートに座って
錆びかけた鉄の棒の
変色したつり革を眺めていると
山間の道に揺られて
外は真っ暗く塗られており
車内の薄ボンヤリとした証明に
冷たく映る自分越しの鬱蒼とした木々が
寄せ付ける物も無いように広がっている
車内には乗客も無く
運転手は前だけを見ていて
押しボタンも無く
行き先のランプさえ潰れて読めなかった
現象は確定されず拡散される
ふと聞いていた
気が付けば朽ちかけた
停留所の看板で降りてしまって
木の小屋には朽ちかけた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)