糜爛の腐体/アハウ
 
「国 敗れて山河あり 城 春にして草木深し」
この爛れきった欲望海で 浮遊する懺悔の言葉か

赤く腫上がり溶け始めた太陽が発する腐臭の光
光よ 光よ
我が身の因果で送り込まれた この暗い海に
恐怖の波頭はうねり翻弄され凶暴な口開け我を襲う
暗く凍える欲望海 押し殺す雲は低く垂れ込める
体は腫上がり水で膨れるブヨブヨの体らしきもの

凍りつく拷問のうねり
「ああ 光よ射せ せめて 体を温めよ」

暗紅の空は笑い始め やがて雲が裂け
一条のか黒き光 糜爛の腐体を白く浮かび上がらす
おお これは神の奇蹟か我が体が宙に浮き
えも言われぬエクスタスの境地へ体ごと上がった

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