ささやかに、たくらみ/六一介
枯れ木にも電飾の賑わいで、
世の中はまったく クリスマスの容貌、
クリスマスの前の夜には、
おんなのこは いちごのようにあいらしく
はねのようにやさしくきかざり、
誰かの腕に あらねばならぬものらしいのだけれども、
ここに ごろんと転がった
煤けた だる磨一つ、
つかまるべき腕も やさしさも
とりたてて特筆すべき事象の無い訳でありますが、
夜になれば 台所にこもって
餡をのべ ぜんざいをつくり
26日にもなれば にょきにょきと手をのばして、
半額セールにかけられた やさしくあいらしいものの
おこぼれにあずかろうという算段なのです、
戻る 編 削 Point(2)