雨舞踏/及川三貴
 
器の底に僅かに残る水を
飲む頃に 雨の平原
遮るもののない近さに
後ろを振り返る
遠い山々から
無秩序な強風が
長い旅を続け
軽いものを巻き上げた
道の跡に午後の
どこか沈んだ退色
濡れた口元を拭いもせずに
浅ましくねだっている
いつか解けた指が
雨を静止させて
地を離れる踊り
円の中に足をつけないよう
大気も同時に動き始める

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