誓い/たりぽん(大理 奔)
 
自分の名前を
忘れてしまいそうになる
遠いとおい旅路なのです
だけれども
決して忘れない
名前もあるのです

あの月と星をいただく塔の上で
そらに吸い込まれる
ただひとつの呼び名のように
なんどもなんども
たどり着きたいという旅路で
はるか彼方に待つはずの
名前もあるのです

  どんな誓いも
  かなえることのできない距離
  せめて忘れない
  帰る場所に
  あなたの

いっそ
自分の名前を忘れてしまえば
どんなに背中が軽いでしょう
だけれども
あの月と星をいただく
塔の上で
なんどもなんども
あなたに呼ばれたいという
それだけの理由で
忘れることはない
誓いではない名前

遠いとおい旅路で
遠ざかるほどに
ゆるやかに、こだまする

あなたの









            (1987/8/5 撮影)
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