貧弱な土地にしか、果物は育たない。/ブライアン
山に囲まれた盆地で、水を集めて田を耕す友人は、
帰り際に、果物をくれた。
中学時代、いやもっと幼いころ。小学校に通う頃か。
唯一の国道113号線が、地吹雪で渋滞を起こした。
雪は、乗用車を巣食った。
閉じ込められた運転手。
死者が2名出た。
吹雪の中、小学生は学校まで歩いた。
昼ごろに天気は回復した。
夕方、113号線はようやくいつもどおりの流れに戻った。
果物は、りんごと葡萄だった。
ビニール袋に、押し込められていた。
「都会の食べ物はまずいべ?」
友人は笑い、同意を求める。
この土地には何もない。何もなくてよいのだ。
何一つ、優位なものなどなくてよいのだ。
と、言えるはずもない。
僕は友人に同意する。
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