バカボンのパパみたいなのだ/松本 卓也
 
音もなく降る雨を
ぼんやりと眺める

眼鏡が塗れて
視界が薄れていく

咥え煙草
白い息と煙
止め処なく
途切れなく

溜息と自嘲
そして後悔

顔をしかめながら
通り過ぎる人が見た
何も見ていない僕の瞳

映るのは過去でもなく
ただ久遠に消えた
想いだけが雨に溶けて

忘れようとしても
思い出すことができない
台詞をもう一度振り返る


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