弁当箱/時雨
それは、青い色の小さな小さなお弁当箱
荷物の整理、してたらね
思いがけず出てきて、
小さかったあなたを思い出した。
あなたは、初めての子だったから
『幼稚園生のお弁当』なんて知らなかった私は、
全く飾りを付けもせずに、
お父さんのお弁当を作るときに残ったおかずを
ちょこりちょこり、と
この小さいお弁当箱に詰めていて
あなたは、周りの子のキラキラしたお弁当が、
羨ましかったでしょうに
一言も文句も言わないで。
あなたの妹のカナがね
「ゆきちゃんちみたいにうさぎさんのやつ、いれて?」
そう言われて、初めてそんなものが売ってるなんて知ったのよ。
小食で、小
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