五十年の孤独すら希望/
煙と工場
帰路の途中に
いっぽんのイチョウの木
並木にあるわけでなく
小汚ない公園の中に
ぽつんと立っている
小汚ない公園だが
イチョウの木は
実に堂々としていた
彼が何十年
生きて来たかは
分からないが
彼が何十年
ひとびとの
悲しみや
喜びを
見て来たか
しかし
彼のしたには
枯れ葉に寝そべる
一匹の猫
イチョウの木
君は実に
堂々としているのか
なぜ
人は
私は
イチョウの木のように
なれないのか
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