『はなうた、吐息、包んだサナギ』/しめじ
 
 ロベスピエールなんて思い出す
 厭世的な夢想


はなうた
吐息
世界は雨
方向指示器の余熱
封筒を抱いた少女は
何万回も記憶した道で迷って
変わらない日々に頬を濡らします


(雨降りの中)
 落ちたサナギを両手で包んだ
 子供の日の汚れたスニーカーを
 焼却炉に放り込む
 温い毛布に包まって
 いけない思いに没頭


はなうた
吐息
世界は雨
孤独なロードランナー
手にした一輪のバラは
無縁仏のようなわたくしの
醜悪な哀しみと色を等しくします

(世界中で)
 待ちくたびれた分針が止まる
 六時十分四十二秒
 指月堂の玉砂利の上
 カゲロウが死んでいた
 感情的な失踪


はなうた
吐息
世界は雨

暦売りが消えて
日は昇らない
出口はどっちだっけ



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