シェリル/白雨パル
 


シェリル
まぶしいな、区切られない場所は


名前を持つのかどうかも知らないような虫が
指先をつたってきて
それはぼくになにも響かなかったから
そっとしておいた



シェリル
お花畑を走りまわるきみは
つまりお花や虫たちを
笑いながら踏み潰してるわけだから
そんなきみを素敵だなんて思ってしまうとは
ぼくはとてもいけないのかもしれない

でも
すてきっていう語感はなんてすてきなんだろう
この理由なんていらない感じだ


重厚な雲はきらいだな
いかにもという感じがすてきじゃないんだ

虫がぼくの肘のあたりから
飛びたってゆく
シェリルに気をつけろよ
潰されるぜ


シェリル

太陽はゆっくりと
ぼくたちを引きはがしながら
いのちを伝えている

 



戻る   Point(14)