忘れられた世界/atsuchan69
夜の緞帳を
必死に綱をひいては永遠を繋ぎとめる
シーシュポスと家族四人、猫一匹。
果物や魚たちの浮び漂う市場には
いにしえの詩人たちの言葉のパーツが並び
それ等に混ざって売買されるのは、
ささやかな微笑みと和みのシンフォニー
「お帰り、ラス、メリーゴ!
声に振り向くと、そこに
ともに暮らすべき大勢の仲間がいた
(彼らは皆、詩人である
やがて仲間のうちの一人が言った、
「孤独を噛みしめるほど充分に広いよ
お望みなら、独りぼっちで暮らせばいい
でも、その気になれば僕たちはいつだって会話できる
それと、ここには金持ちは一人も住んでいないんだ
もっとも笑顔の素敵な人ほどいくらかは富んでいるがね
ただ、ビンボーは好いよ。詩のためには
「ああ、部屋ならブレイクさん所(とこ)が空いてるよ
賃料は毎月/詩の朗読二回だって
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