忘れられた世界/atsuchan69
 
曙色の大気に染む甘美なる夢の輪郭
そよぐ小風に香るバニラの匂いとともに
家々のケーキを焼くオーブンから立ちのぼる煙
見渡せば、丘の向こうの不可思議な光・・・・
淡いピンクに赤を混ぜた規則正しい縦縞のビームが
地表から対流圏界面をこえて幾筋も伸び
真珠のごとき艶をおびた眩い空にどこまでも続いている

敢て言うなら、それは「光」というより
寧ろピンクに染まった流体にちかく
光の源を探すと、四方の山の谷間から
湧き出す畝雲に生じたスパークによって
強く帯電した/激しいプラズマの噴流

やがて共鳴し、振動する山肌のルビーが放つ
 ほとんど噴火にも等しい様の放射光
 
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