扉の手前/
佐々宝砂
てたり決意したりする必要はなかった
あたしは扉をあけて
扉のむこうに向かって歩いていっただけ
それで
あたし
いまも歩いている
歩いてる
暑い暑い牛糞くさい風に吹かれていたときとおなじに
流行ってる歌を聴くのもドラマを見るのもめんどくさくて
あたしはとにかくかったるくってかったるくって死にそうで
でもあたしは前とちがう
あたしはいまSFより大切なものを抱きしめているし
それよりなによりあたしは歩いている
いまは歩いている
(即興)
戻る
編
削
Point
(4)