青銅の蛇/アハウ
 
が濡れ始める
祈りの背後から気配がしている
その場の空間が気で歪み始めている
不協和音の連続のような感覚
異空間を通過しているような
切迫感をともなった 荘厳な重々しさがやって来た
 
祈りを中断 背後の窓を閉めようと振り向くと
窓から 立ち木伝いに 
青銅の色した身の丈ほどの蛇
激しく雨に打たれ 
そのなめし皮の鈍い光の肌 ますます光り
体半分 部屋に入っている
稲光がその体の影を大きく映し出す
ゆっくりゆっくり空間を歪め
まるで王のような優雅な面持ちで
体はもう部屋に入りきった
ドサッ 
窓枠から彼が床に落ちた音がする

青く鈍く稲光を照り返す 青銅の蛇
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