トゥオ/黒川排除 (oldsoup)
来賓は枝を内蔵したカナリア
倒れた門の影が立って入口
電報打つ行方不明者の虚ろなバリトン
雪塊囲む石 消えゆく 一時間毎に
無心の蔓の侵入百年間許す
ペガサスの腹筋白く雲と交わる
近所を迷い忘れて正確な帰宅
無為と知るにも熱量使う舞台裏
薄紙に滲む実名唯一紺
七十二階のロビーに破れている枕
見えなくなるまで打ち込まれなおも震える杭
壇上に皿と空気とスピーチ始まる
祭具捨てて血で錆びた地区迂回する
プラスチックの鍵流れくる川の上流開けて
寒いからうさぎを履く 空が恋しくなる
田園にフラスコ置いて空虚ためる
雫になりようもない頭を垂れている
星形の花・花の星座の分岐点
床突き破り網戸で泥を漉している
宙を刺す金粉いずれの視界にも
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