呼吸/ねなぎ
 

夜に歩きだした時に

いつしか染み付くように
慣性のまま
自然だと思えていた

静かに
ゆっくりと血中を
巡っていく
そして
穏やかに降りて
少しだけ
引かれる

販売機の明かりが見えて
引き寄せられていた

切り取られた感覚の時間と
実時間との差を
相対するように思った

倒れるくらいに
脈打つ鼓動が
迫るように聞こえて
目を閉じれば
紅く混濁し
回るように抜けていく
感覚が戻ってくる

そして
気が付けば取り残されたように
消えて
時間は動いており
惜しむように
深く息を吸う
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