白影/
落合朱美
白鳥の声で
目覚めたような気がした
明け方の空は蒼の階層を成して
東の彼方の地平線のすぐそこまで
太陽が迫ることを告げる
昨夜のうちに雪はうっすらと降り敷かれ
まだ誰にも踏み躙られたことのない
汚れなき乙女の色で人を招く
薄い夜着の胸元は頼りなく
襟を重ねあわせながら
冷気の静寂に息を吐く
白鳥が哭く空の
その方角をたしかめる
空は紫から朱へと彩られ
やがてすべてが明けたとき
露わになる醜い姿を何よりも怖れる
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