明治の文章に関する駄文/佐々宝砂
 
へたが、「其二」は最う滅茶苦茶である。此様なものが真面目に歌はれてゐたかと思ふと、腹がよぢれる程馬鹿馬鹿しい。「其二」の方を下に引用して置くから、よく味はつて呉れたまへ。

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一、
みよやみよや サタナの城
みそらにそびゆる あの白壁。
二、
つめにさかれ 餌となりて
あはれ青ねんの かばねなるぞ。
三、
きけやきけや サタナのうた
しらべにあはする 三筋のいと。
四、
わなとなして 獲ものとせる
青ねんのいき血を のむ舌うち。
五、
どくのいきを はきだしつゝ
ほのほの舌もて なめてまはる。
六、
天地もふるひ くにのもとい
もゆる火のうみに 今かおつらん。
七、
さめよさめよ あいの角笛(かくてき)
ふじのいたゞきに なりとゞろけ。
八、
すゝめすゝめ すくひのはた
ほろびのちまたに うごかずたて。
九、
たてよたてよ 正義のつるぎ
サタナの脂に あきてこゑよ。
十、
かへせかへせ あい国の友
大和のみくにを かみにかへせ。


(初出 蘭の会内部掲示板「標本箱」)
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