コスモス/
松本 卓也
小さな花びらを手にとって
空耳が乗せる旋律を紡ぎ
微かな記憶は風に沿って
僕の脇を通り過ぎていく
遠い昔に見た夢と
歩く舗道の道の先に
僕の瞳が重ねるものは
茜に浮ぶ君の幻
ぼやけた輪郭を湛え
寂しげに微笑む君に
戻れない過去を告げる
そんな自分に苦笑い
薄紫の花が小さく揺れて
足早に歩く僕を静かに見送る
冷たさの混じる10月の風は
忘れた季節を告げていた
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